子宮外妊娠の場合でも、妊娠検査薬は陽性で、つわりがあることもあり、ごく初期には普通の妊娠と変わらないようです。
子宮外妊娠とは、受精卵が子宮以外の場所に着床し発育することです。卵管・腹膜・卵巣・子宮頚官など、子宮内腔以外に着床したすべての妊娠を子宮外妊娠といいます。 子宮外妊娠の確立は妊娠全体の約0.5%〜1%といわれています。子宮外妊娠は胎児だけではなく、母体にとっても非常に危険です。子宮外妊娠では胎児は育つことができません。子宮外妊娠であることに気づかず、卵管の中などで胎児が成長してしまうと卵管の壁が破裂し、腹腔内に大量の出血を起こし、母胎の命が危険にさらされてしまうのです。そのため子宮外妊娠になってしまったら、早急に手術を受ける必要があるのですが、子宮外妊娠は兆候がわかりにくく早期発見が困難なのが現状です。日頃から月経の周期が安定している人は妊娠に気づくのも早く、産婦人科で適切な診察を受けているのが普通ですから、子宮外妊娠にも早く気づけるのですが、問題なのは月経不順のために妊娠していることに気づかずにいる人の場合。妊娠の自覚症状がないまま下腹部に激痛を感じ、病院へ運ばれて子宮外妊娠であったことに気づく、という人も少なくないようです。基礎体温を測るなどして常に自分の身体に注意し、少しでも妊娠の兆候が現れている場合や、下腹部の痛み・出血などがあったらすぐに産婦人科に行きましょう。また、定期健診を受けることも子宮外妊娠の早期発見のためには有効といえます。
ではなぜ、子宮外妊娠は起こるのでしょうか。妊娠は精子と卵子が合体する「受精」という現象から始まることは、みなさんご存じだと思います。この受精は卵管内の卵管膨大部で起こり、その後受精卵は約1週間かけて卵管内を移動していきます。細胞分裂を繰り返し、子宮の内腔へたどり着く頃には、受精卵は着床できる能力を獲得しています。正常な場合、ここで受精卵は子宮に着床するわけです。つまり子宮外妊娠というのは、受精卵が着床する能力を獲得するようになってもまだ子宮内腔へたどりついていない場合に起こるということになります。その原因としては、卵管上皮にある線毛の運動(受精卵を輸送する働きを持つ)の異常、卵管の通過性の障害(卵管が詰まったり細くなっている)などが考えられます。子宮外妊娠で最も多いのが、卵管内で着床してしまう「卵管妊娠」。卵管妊娠の中でも卵管の入り口部分の「卵管膨大部妊娠」が特に多く見られます。ごくまれに、子宮の下側の「頸管妊娠」や腹腔内に着床する「腹腔妊娠」といった症例もあります。いずれにしても、原因がはっきりしないケースもかなりの割合を占めており、子宮外妊娠を事前に予防するということはきわめて困難なことと言えるでしょう。
子宮外妊娠と確定された場合、その多くは手術によって胎芽を摘出するという治療になりますので、残念ながら赤ちゃんの命は助かりません。子宮外妊娠は母体の生死に関わる問題ですから、母体の健康を優先で考えるように理解しましょう。まずは病院で子宮外妊娠の検査をしてもらい、もし全身状態が悪化していれば開腹手術をして卵管を摘出することになります(卵管根治手術)。しかし原因となる卵管を切除するこの手術方法は、治療効果は高いのですが、片方の卵管を切除してしまうため、今後妊娠の確立が低くなるという可能性は否定できません。そのため、卵管を摘出しないで保存する手術(卵管保存手術)もあり、こちらを望む患者さんも多いようです。しかし現在のところ明確な両者の選択基準はなく、どちらの治療法も長所と短所があります。ただ、子宮外妊娠が早期発見でき、状態が落ち着いているのであれば手術の他に、待機療法 (1〜2割の子宮外妊娠で自然に吸収され治癒するケースも)、薬物療法(大抵MTXという抗ガン剤を使用)といった選択肢も残されています。いずれにせよどの治療方法を選ぶかは患者さんの状態により異なりますので、担当の医師と良く相談し、自分の納得のいく治療法を選ぶのがよいでしょう。